平成18年10月1日日曜日

 

時効殺人の民事訴訟事件

 殺人罪の時効(除斥期間)を巡る民事訴訟で、殺人に対する賠償請求を認めなかった判決が話題になっている(9月29日原告控訴)。
 サンデージャポン(TV朝日)で橋下徹弁護士は遺族側には次の判決が参考になるとのこと。

平成10年6月12日最高裁第二小法廷平成5(オ)708
・ 不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間
・ 不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6か月内に不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合に、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から6か月内に不法行為による損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法158条の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じない。

除斥期間の趣旨:一定の時の経過によって法律関係を確定させるため、被害者側の事情等は特に顧慮することなく、請求権の存続期間を画一的に定める。
原則:民法724条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものであり、不法行為による損害賠償を求める訴えが除斥期間の経過後に提起された場合には、裁判所は、当事者からの主張がなくても、除斥期間の経過により右請求権が消滅したものと判断すべきであるから、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用であるという主張は、主張自体失当である(最高裁S59(オ)第1477号平成元年12月21日第一小法廷判決)。

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